筋強直性ジストロフィー

今日は息子の持病の筋ジストロフィーについて書いていきます。

筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称。
筋ジストロフィーの中には多数の疾患が含まれますが、いずれも筋肉の機能に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に変異が生じたためにおきる病気です。

 

 「筋肉が壊れやすく、再生されにくい」

体はすべて筋肉で動いています。

心臓を動かすのも筋肉、呼吸も肺の筋肉を使います。

筋肉を使い過ぎると筋肉痛が起こります。

筋肉痛は筋肉の組織が破壊された状態、炎症を起こしているので痛みがあります。

通常は数日で筋肉の組織が再生され痛みも治まります。

「筋ジストロフィー」は筋肉痛などによって破壊された筋肉は再生されにくいので時間とともに筋肉が低下していきます。

筋力の低下によって身体を動かすことが難しくなったり、呼吸・飲み込み・血液循環等に機能障害が出たりします。

 

今のところ、根本治療薬はありません。

 

 筋ジストロフィーは大きく分けて6種類

●性染色体劣性遺伝型筋ジストロフィー

・デュシェンヌ型

特徴:進行性筋ジストロフィーの大部分を占め重症な型

おおよそ小学校5年生くらいの10歳代で車椅子生活となる人が多い

 ・ベッカー型

 

●先天性筋ジストロフィー

特徴:出生時より筋力の低下を認めるものを先天性筋ジストロフィーと呼ぶ

・福山型
日本では先天性筋ジストロフィーの中で最も頻度が高い。多くは10歳代で死亡する。
・ウールリッヒ型
・メロシン欠損症
・インテグリン欠損症
・ウォーカーワールブルグ症候群

 

●肢帯型筋ジストロフィー

特徴:1歳以後に体幹に近い部分の筋肉(近位筋)の筋力低下

・LGMD1A - 1D群  
・LGMD2A - 2F群

 

●三好型筋ジストロフィー

特徴:16〜30歳頃に発病し腓腹筋とヒラメ筋が侵されれ初期症状は、つま先立ちができないジャンプすることができない、走ることが遅くなる等の症状

 

●顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

特徴:顔面、肩甲部、肩、上腕を中心に筋力低下

 

●筋緊張性ジストロフィー

特徴:顔筋、舌筋、手内在筋のミオトニア

筋強直。筋の収縮が異常に長く続き、弛緩が起こりにくい現象のこと。

手を強く握るとすぐには開けない、など。

うちの子の病名はこちらの☝筋緊張性ジストロフィーです。

 

筋ジストロフィーの原因は?

人は皆、遺伝子(身体の設計図)の中にたくさんの変異を持っています。

何も表に現れない変異が大半ですが、いくつの変異は、筋ジストロフィーという症状になって現れます。

似た症状で変異箇所(責任遺伝子)が異なる例、同じ変異を持っていても症状が異なる例がある一方、現在も変異箇所(責任遺伝子)が同定されていない例も多くあります。

 

筋緊張性ジストロフィーは、遺伝性で親よりも子、男子が重症化しやすい。

女子の場合、筋ジスの遺伝子を所有していても発症率は低く、また発症しても軽症であることが多い。

 

いつ頃から、どんな症状が出るの?

症状が出始める年齢や、症状の出やすい場所は、疾患によって様々です。筋力の低下によって身体を動かすことが難しくなったり、呼吸・飲み込み・血液循環等に機能障害が出たりします。
疾患によっては、内臓・目・耳・脳などに機能障害や合併症を伴うものもあります。

 

治す方法はあるの?

根本治療薬はありません。しかし、近年の医学の進歩はめざましく、複数の疾患で新薬の開発が進められています。また、筋疾患以外のために開発された既存薬が筋ジストロフィーに良い効果をもたらさないか、という研究も進められています。

 

根本治療は、遺伝子の異常を治すこと。 

 

 治療薬開発で研究されている、さまざまな方法

筋強直性ジストロフィーの根本治療法として検討されている主な例としては、次のようなものがあります。
核酸医薬品によって、細胞核に溜まったRNAそのものを分解する方法
「アンチセンス・オリゴ・ヌクレオチド(ASO)」という方法などが検討されています。
細胞核に溜まったRNAにMBNLが吸着しないようにする方法
低分子化合物を使う方法などが検討されています。

 

 治験はもう、行われている

筋強直性ジストロフィーの根本治療法についての治験は行われています。
脊髄性筋萎縮症の核酸医薬品による治療薬「スピンラザ」で有名になったアメリカの製薬企業、IONIS Pharmaceuticalsは、2016年に核酸医薬品「IONIS-DMPK2.5Rx」の治験をアメリカ内で行っていました。この治験では薬品が細胞に届く力が弱かったため、さらに強めるための研究を継続しています。
また英国の製薬企業AMO Pharmaは先天性筋強直性ジストロフィーの患者を対象とした治療薬「Tideglusib」の治験を2017年にロンドンで行っています。
治療薬は遠い外国での話ではなく、目前の話です。
根本治療を受けられるよう、できるだけこれ以上悪くならないようにする、そして治験を実現して、販売を認可してもらえるようにすることが大切です。

 

「生活の質」や「歩行機能」に着目した治療法も

細胞の中だけではなく、患者の生活に密接な治療法の開発も進んでいます。
認知行動療法などを用いた治療法
ヨーロッパ各国が連携して「OPTIMISTIC」という研究が進められています。
筋強直性ジストロフィーの患者を対象に、認知行動療法と軽いエクササイズで症状の改善を目指しています。
日本国内でも患者のQoL(生活の質)についての研究が始まっています。
HAL医療用下肢タイプによる歩行機能改善治療
サイバーダイン社で開発されているHAL医療用下肢タイプによって、患者の機能改善治療ができる可能性が広がってきました。医療保険適用もされるようになり、導入している病院も増えています。

 

 今、治すことはできませんが大事なのは現状維持

 

対症療法は?

筋肉、呼吸、飲み込み、循環(心機能)等、それぞれの症状について、対症療法が行われています。症状によって必要なケアが異なりますので、専門医、専門機関としっかり連携をとることが大切です。
適切なケアを駆使して、体調を良い状態に保ち、生活を楽しみましょう。

骨格筋(身体を動かす筋肉)の症状に対して

筋力トレーニングは却って筋肉を痛めてしまうため勧められていませんが、専門家の指導のもとで、適切な負荷での運動を続けることは重要です。また、早い時期から関節稼動域訓練(ストレッチ)を行うことで、しなやかさを保ち、身体の変形や痛みを防ぐことが期待されます。
また、そくわん(いわゆる背骨の変形)は座れなくなったり呼吸にまで影響したりという影響があるため、整形外科で手術も行われています。
ステロイド(喘息やアレルギーで使う薬です)が有効と証明され、保険適応となっている疾患もあります。

呼吸に対して

肋骨周辺の筋肉をしなやかに保ち、肺を健康な状態に保つために呼吸理学療法を行います。呼吸機能が低下しはじめたら、マスク型の呼吸器や排痰補助装置の力を借ります。どちらも保険適応となっています。

飲み込みに対して

飲み込む力に合わせた食形態で水分や栄養をとります。食べ物や飲み物が、食道ではなく気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎につながり大変危険です。(筋力が落ちると、唾液などが気管に入ってもむせる反応が出にくく、誤嚥に気付きにくいことがあります)
飲み込む力が低下し始めたら、経鼻胃管や胃ろうを使い、胃に直接栄養を届けます。胃ろうで必要な水分・栄養を摂り、口からは楽しむための食事をする、という併用をしている人も多くいます。

循環(心機能)に対して

心臓も筋肉ですので、血液循環の力が低下することがあります。運動する筋力が落ちていない期間に心機能が落ちる例もありますので、定期的な検査を行い、適切な運動量、投薬、ペースメーカーの利用を行います。

 

本人が気をつけること

疾患によって、気をつけることが異なりますが、共通のものをご紹介します。

呼吸器感染  

咳をする力が弱いため、風邪が重症化したり、長引いたりします。普段の体調管理に加え、不調の際は早めに受診する等の工夫が必要です。

転倒・怪我

運動量が少ないため、もともと骨が細く弱い傾向があります。怪我をして動けない期間を作ると、症状の進行に繋がるので、環境を整え、事故を防ぎます。

 

うちの子も筋力低下で転びやすく幸い怪我はありませんが、握力低下、嚥下機能の低下と睡眠時の呼吸障害があるので常に気をつけていますが、本人若いので無理をしがちです。就寝時のみ呼吸器を装着してます。


 先日、かなしい事故がありました。

もっと早く気付いてあげられていたらこんな事には・・・。

www3.nhk.or.jp

 

医学の発達に期待して今できる最大限の対処をし、現状維持に近い状態を保つ事。

それには本人の意識、努力、そして周りの方々のサポートが必要です。

こちらのサイトで研究・治験情報などの情報が得られますので、ぜひ登録を! (結構めんどくさかったですが、今後の治療の為にお願いします。)

患者登録サイトRemudyは、これまで治療法が少ないとされた筋ジストロフィーを含む神経筋疾患の 患者さまのために、新しい治療法を開発するための患者登録サイトです。

神経・筋疾患患者登録サイトRemudy

筋ジストロフィーは人数の少ない疾患なので、治療法開発研究にも、対症療法の研究にも、症例数が不足しがちです。これらを解決するため、現在、複数の筋ジストロフィーで医学情報登録が進められています。

現在毎月通院、お薬は肝機能を改善する「タウリン散98%」心臓の働きを強めて息苦しさを改善する「ユビデカレノン錠10mg」を服用、栄養ドリンクの「エネーボ」も処方してもらっています。医療費は難病指定なので通常より抑えられていると思います。医療費については次回書いていきます。